ディープフェイクやフェイク動画は世界各国で話題となっており、ウクライナ侵攻でも用いられたこともあって、多くの人から注目を集めています。この記事では、ディープフェイクやフェイク動画の危険性や有用性、作り方などを解説しています。気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。
■目次
1 ディープフェイクの基本情報2 ディープフェイクの有用性2.1 1. CG制作の負担を減らせる2.2 2. 再撮影の手間を減らせる2.3 3. 報道キャスターの仕事を代わりにやれる3 ディープフェイクには多くの危険性がある3.1 1. なりすまし動画を作られてしまう3.1.1 事例1)ウクライナ侵攻3.1.2 事例2)オバマ元大統領3.2 2. フェイクポルノを作られてしまう3.3 3. ビジネスメール詐欺が増える恐れがある4 ディープフェイクを用いた動画の作り方5 ディープフェイクは今後どうなる?5.1 エンターテインメント業界でさらに活用される5.2 悪用を防ぐためのさまざま開発が行われる5.3 役者による対応が明確なものになる6 法律やルールの整備が行われる6.1 他言語への翻訳がしやすくなる6.2 DXと連携し始める7 まとめディープフェイクの基本情報ディープフェイクとは、ディープラーニング技術を使って人工的に作り出された合成映像や音声、文章などのメディアコンテンツのことです。ディープフェイク技術は、機械学習や人工知能の進歩によって生まれたものであり、政治や外交へも影響を及ぼしています。
具体的には、人物の顔や動きを合成して、まるでその人が実際に映像に出演しているかのように見せるといったことです。また、声のトーンや言葉遣いを学習させることで、本来の話者とは別の人物が話しているように聞こえる音声も作り出せます。
一般的には、ディープフェイク技術で制作した動画は「フェイク動画」と呼ばれ、ディープフェイク=フェイク動画と思われています。しかし、フェイク動画というと悪意ある使い方をされるイメージがありますが、本来のディープフェイク動画にはさまざまな効果や有用性があるため、全てを同じように判断しないようにすることが大切です。
※「フェイク動画」という表記は、悪意ある目的で作られたものというイメージがあるため、健全な目的で作られた正しい技術のものを本記事では「ディープフェイク動画」という表記を用います。
ディープフェイクの有用性ディープフェイク技術の利点を知ると、さっそく使ってみようと思えるかもしれません。また、利点を知るとディープフェイクがどのようなものなのか、さらに理解しやすくなります。
1. CG制作の負担を減らせるディープフェイク技術は、ハリウッド映画のようなエンターテインメント業界でよく用いられています。特にCG制作では、人間以外の生き物が登場することもあり、その際にディープフェイク技術を用いることで、これまでよりも制作時の負担を減らすことが可能になります。
これまでは、特殊なキャラクターを演じる際に特殊メイクをする必要がありましたが、メイクだけだとどうしても限界がありました。しかしディープフェイクを用いればその壁を突破し、キャラクター画像を学習させることで違和感なく映像を置き換えることができるようになり、さらに幅広いキャラクターを演じられるようになります。
2. 再撮影の手間を減らせる動画制作に関連した利点として、再撮影の手間を減らせることも挙げられます。もしもセリフを変更しなければならなくなった際に、これまでだともう一度撮影する必要が生じてしまいました。
しかし、ディープフェイク技術を用いることで、再撮影を行わなくても映画を完成させることも可能になります。AIに大量のデータを読み込ませて学習しているため、似た映像と合成・加工を繰り返して新しい映像を作ることができます。さまざまな理由で再撮影する必要があっても、これまでよりも手間をかけずに編集することが可能になります。
3. 報道キャスターの仕事を代わりにやれるディープフェイク技術を使うと、実在しないキャラクターやバーチャルアイドルを作り出すことができるため、アナウンサーやタレントによる報道キャスターの仕事を代わりにやってくれます。
実際にAIアナウンサーを採用しているケースもあり、新華社通信やテレビ朝日では、AIアナウンサーを本格的に起用してニュース放送を行い、話題になりました。
ディープフェイクには多くの危険性があるディープフェイク技術にはさまざまな有用性がある反面、危険性もはらんでいるため、そのことも踏まえてディープフェイクの理解を深めましょう。
1. なりすまし動画を作られてしまうなりすまし動画は「フェイク動画」とも呼ばれており、政治的な動画や偽のニュース映像を作り出して世論を操作できるため、社会的な問題として注目を集めています。
なりすまし動画の悪用は、実際に起きていることです。すでに見たことがある方もいるかも知れませんが、次のケースが挙げられます。
事例1)ウクライナ侵攻2022年3月16日、ウクライナ侵攻においてロシアへの降伏を発表するゼレンスキー大統領の動画が、FacebookとYouTubeへ